飲食店など、調理の際に火気を使うお店は火事などのトラブルと隣合わせ。
特にこれからの季節は、空気の乾燥などもあり、ボヤや火事のニュースも増えてきます。
人や建物の多い繁華街などで火災が起こると、周囲に引火し被害が拡大してしまいます。
お客様がそんな心配をせずに安心して食事を楽しんで頂けるよう、
日頃から防火管理についても日頃から考えておくことが大切です。
今回は飲食店開業にかかせない、「防火管理者」について解説していきます。
防火管理者は、どのような資格?
防火管理者って?
防火管理者とは、簡単に言うと「店舗の防火管理に対して責任を負う人」のことです。
防火管理者の専任について、消防法では以下のように定めています。
消防法第8条 防火管理者
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店(これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗を含む。以下同じ。)、複合用途防火対象物(防火対象物で政令で定める二以上の用途に供されるものをいう。以下同じ。)その他多数の者が出入し、勤務し、又は居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
どんな場合に必要?
すべての飲食店で必要になるわけではなく、一定規模以上の場合に選任が必要となります。
例えば、飲食店の場合だと30人以上を収容できる店舗の場合は防火管理者が必要です。
ただ、この30人には従業員も含むため、25人分の席+従業員が5人の場合も防火管理者の登録が必要となります。
防火管理者の中でも甲種・乙種がある
防火管理者には甲種・乙種の2種類があります。
店舗の面積によって必要となる種類が決まります。
30人以上を収容出来る店舗で、なおかつ延床面積が300㎡以上の場合は甲種。
30人以上を収容出来る店舗で、延床面積が300㎡未満の場合は甲種乙種どちらでも可能です。
甲種が詳しく全体を網羅した内容となっており、
甲種をとれば乙種は取得する必要はありません。
将来的にお店を大きくしたりする事も考えて、甲種を取得してしまうのがオススメです。
防火管理者のお仕事って?
防火管理者の仕事としては、消防計画の作成をはじめ、消火、通報、避難訓練の実施。その他、消防設備や下記設備等の点検、整備。
火気の使用、取り扱う際の監督、避難・防火上必要な設備の維持管理などがあげられます。
防火管理者資格を取得しよう!
防火管理講習に申込みをする
防火管理講習は、各都道府県によって主催者が異なります。
都道府県が主催するもの、市町村の消防庁、日本防火・防災協会と地域によってさまざま。
窓口、受講方法、日程なども異なるため、店舗をかまえる地域の消防署に問い合わせてみるのが一番確実です。
防火管理講習を受講する
申込みが出来たら、いよいよ受講です。甲種は5時間×2日の10時間、乙種は5時間×1日の講習となります。
講習の内容は、テキストを用いた座学だけでなく、
消火器の使い方や避難具の使い方を学ぶ実技、効果測定という構成です。
効果測定は、受講した内容をチェックするためのテストのことですが、
防火管理者は講習を受講後に消防署へ届け出をすれば取得出来るため、
効果測定の成績によって左右されることはありません。
ただ、万が一火災になってしまった時に、
大切なお店を、お客様を守るための防火管理者です。
せっかくの講習ですから、しっかり身につけておきたいものですね。
資格取得にかかる費用は?
甲種は7,500円、乙種は6,500円です。講習が終わったら消防署へ届け出を
受講終了後、修了証をもらったからと言って安心してはいけません。防火管理者になるには、消防署への届け出が必要です。
店舗のある地域を管轄している消防署へ、
【防火管理選任(解任)届出様式】を提出します。
(一般的にはこのタイミングで消防計画もあわせて提出される方が多いです)
書式は消防庁HP等で入手できます。
防火管理者の再講習ってなに?
「昔取った杵柄」は通用しない!?
「以前飲食店で働いていた時に、防火管理者取得しました!」そんな即戦力になりそうな人が面接に来たら、
まさしくラッキーですよね。
ですが、場合によっては、再講習が必要になってしまいます。
再講習の受講期限について
1.甲種防火管理再講習の受講期限については、以下の2つの場合があります。
(1) 防火管理者に選任された日の4年前までに甲種防火管理新規講習又は甲種防火管理再講習を修了した方は、選任された日から1年以内に受講してください。
(2) 前(1)以外の方は、甲種防火管理新規講習又は甲種防火管理再講習を修了した日以後における最初の4月1日から5年以内に受講してください。
防火管理者の講習を受けたタイミング、店舗の収容人数が300人以上の場合は再受講が必要です。
以下のチャートがわかりやすいので、チェックしてみてください。
消防点検業者を選ぼう
実は、防火管理者業務は外部に委託が可能なんです。
※あくまで「実務」のみの委託となり、責任は管理権限者(店舗)が負います。
委託出来る業務は以下のとおりです。
消防法施行令第3条第2項
・消防計画の作成、見直し及び変更に関すること。 ・避難施設等の管理に関すること。 ・消火、通報及び避難訓練の実施に関すること。 ・消防用設備等の点検・整備の監督に関すること。 ・火気の使用等危険な行為の監督に関すること。 ・収容人数の適正な管理に関すること。 ・防火管理業務従事者に対する指示及び監督に関すること。 ・その他、防火管理者として行うべき業務に関すること。防火管理者の講習を受けたとはいえ、
「実際の消防計画をどう作成して良いかわからない」
「テナントに消防計画等の申請をしなきゃいけないけど・・・わからない」
という方も大変多いです。
さらに、半年~1年に1回訪れる消防設備点検など、
どこの業者に依頼をすればいいのか、と悩んでしまうタイミングも多いかと思います。
スマテンではそういった皆様からのご相談を承っております。
防火管理者についてのご相談以外にも、定期的に行う消防設備点検や、
消防設備の設置についてもご相談が可能です。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。