今回は、毎年総務省消防庁が発行している消防白書を読み解きながら、火災の分析と消防点検の重要性について考察をしてみました。ぜひご覧ください。
日本で一番多いのは住宅火災
2019年、日本では37,683件の火災が発生していますが、建物火災はそのうちの約55%の21,003件を占めています。
火災が発生した建物を用途別で見てみると、住宅(共同住宅と一般住宅、併用住宅を含む)が最も多く全体の約50%を占めています。
火災による死者数の割合では建物火災による死者数は1,197人で、全ての火災による死者数の80.6%を占めており、建物火災の死者の内訳としても、約80%が住宅(共同住宅と一般住宅、併用住宅を含む)が占めています。
住宅火災による死者を階数別で見ると、意外にも1階での死者数が7割を占め最多となっております。
住宅での火災で亡くなってしまった方の約50%が逃げ遅れが原因とされています。
このことからも、建物の階数に関係なく初期消火ができないことや逃げ遅れにより、失われてしまった命があることが分かります。
建物の構造による火災の違い
ここまで、日本での火災の約半数が建物の火災であることが分かりました。
日本の建物には木造、耐火造、防火造など、構造の違いがありますが、それらは建物の火災にどのように影響しているのでしょうか。
資料を見てみると、木造での火災件数が最も多く、1件の火災あたりの損害額も最も大きいことが分かります。
また、火災1件あたりの焼損床面積でも木造は他の構造の建物よりも焼損床面積が大きいことが分かります。
初期消火について
初期消火に使われた消防設備については、消火器が最も多く使われていました。(全体の19.6%)
消火器は初期消火に大事な消防設備の1つです。
消火器には有効期限があります。有効期限が切れた消火器は、いざという時に使用できなかったり、破損などで2次災害を生んでしまう恐れがあります。
初期消火を行うためにも必ず消防点検は行いましょう。
火災の予防について
火災の予防にとって最も大事なことの1つに、消防法に定められている年2回の消防設備点検があります。
火災によって亡くなった方の要因の半数は逃げ遅れです。
逃げ場を確保できなかったり、火災の発見が遅れてしまい逃げ遅れてしまった方が多くいます。
そのような逃げ遅れは、消防設備点検を適切に行うことで防げたかもしれません。
消防設備点検を行うことで、
・正常に火災の発見を素早く検知できる
・正常に初期消火を行うことができる
・正常に逃げ場を確保したりすることができる
以上のことから、消防設備点検は⼤事な建物を守ることや⼤事な命を守ることに繋がるのです。
必ず消防設備点検を行い火災の予防に役立てましょう。
出典元: 令和2年版 消防白書