オフィス防災で増えている「帰宅困難」問題

災害対策というと、

「非常食や水を用意するもの」

というイメージを持つ方も多いかもしれません。

しかし近年、企業防災では“帰宅困難者対策”の重要性が高まっています。

特に都市部では、大規模地震発生時に公共交通機関が停止し、多くの従業員が帰宅できなくなるケースも想定されています。

実際に過去の大規模災害では、

  • 駅周辺の混雑
  • 通信障害
  • 長距離徒歩帰宅
  • コンビニ商品の不足

などが発生しました。

そのため近年では、

「すぐ帰宅する」ではなく、“一定期間オフィスに留まる”

ことを前提とした備えが重要視されています。

東京都でも、「むやみに移動を開始しない」という考え方のもと、企業による備蓄推進が進められています。

「水だけ備蓄」では足りない

防災備蓄というと、

  • 非常食

だけをイメージしがちです。

しかし実際の災害時に不足しやすいのは、“生活維持”に必要な物資です。

例えば、

  • 携帯トイレ
  • モバイルバッテリー
  • 防寒用品
  • 衛生用品
  • 女性用品
  • 簡易ベッド
  • ブランケット
  • ウェットティッシュ

などは、見落とされやすい備蓄品です。

特に断水時は、トイレ問題が大きな課題になります。

水が使えない状態では通常トイレが利用できなくなるケースもあり、携帯トイレの不足が大きなストレスにつながることもあります。

「生活できるか」の視点が重要

企業防災では、“生き延びる”だけではなく、

「一定時間その場所で生活できるか」

という視点も重要になります。

例えばオフィスでは、

  • 空調停止
  • スマートフォン充電切れ
  • 通信障害
  • 食料不足

などが発生する可能性があります。

そのため、

  • 充電手段
  • 防寒対策
  • 情報収集手段

まで含めて備える企業も増えています。

「置いて終わり」も危険

防災備蓄で意外と多いのが、

  • 消費期限切れ
  • 保管場所不明
  • 数量不足
  • 在庫管理不足

などの管理課題です。

特に複数拠点を持つ企業では、

「どこに何がどれだけあるか分からない」

というケースも少なくありません。

また、担当者変更によって、

  • 管理方法が引き継がれていない
  • 更新タイミングが不明
  • 古い備蓄品が放置されている

など、属人化が発生するケースもあります。

「備蓄しているつもり」が一番危険

実際の現場では、

  • 開封できない
  • 使用方法が分からない
  • 必要人数分足りない

など、“備蓄していたのに使えない”ケースもあります。

例えば携帯トイレでも、

  • 使用場所
  • 廃棄方法
  • 必要数量

を把握していないと、実際の災害時に混乱する可能性があります。

そのため近年では、

  • 定期棚卸し
  • 使用訓練
  • 在庫管理

まで含めて運用する企業も増えています。

ローリングストックという考え方

近年は、「ローリングストック」を取り入れる企業も増えています。

ローリングストックとは、普段使う食品や飲料を少し多めに備蓄し、日常利用しながら補充していく方法です。

この方法を取り入れることで、

  • 消費期限切れ防止
  • 在庫管理簡略化
  • 廃棄削減

につながりやすくなります。

また、“普段食べ慣れているもの”を備蓄できるため、災害時のストレス軽減にもつながります。

建物用途によって必要な備えは変わる

防災備蓄は、建物用途によって必要な内容も変わります。

オフィス

オフィスでは、

  • 帰宅困難者対応
  • 従業員待機
  • 通信確保

などが重要になります。

特に都市部では、数時間〜数日間オフィス待機が必要になるケースも想定されています。

商業施設

商業施設では、

  • 来館者対応
  • 混雑対策
  • 多人数対応

などが課題になります。

特に災害発生直後は、多くの利用者が一斉に行動するため、備蓄量や誘導体制が重要になります。

福祉施設

福祉施設では、

  • 医療的配慮
  • 衛生維持
  • 介助用品確保

など、より継続的な生活支援が必要になります。

特に高齢者施設では、“通常時と同じ生活環境を維持できるか”が重要になります。

防災は「設備」だけではない

建物防災というと、

  • 消防設備
  • 避難経路
  • 消火器

など、“設備面”に目が向きがちです。

しかし実際には、

「人が安全に滞在できる環境を維持すること」

も非常に重要です。

特にオフィスや商業施設では、

  • 従業員
  • 来館者
  • テナント

など、多くの人への対応が必要になります。

そのため、

  • 備蓄
  • 情報共有
  • 安否確認
  • 滞在環境整備

まで含めて考える必要があります。

よくある管理課題

実際の現場では、以下のような課題も多く見られます。

よくある課題

  • 備蓄品の消費期限が切れている
  • 保管場所が分散している
  • 必要人数分足りていない
  • 担当者しか在庫状況を把握していない
  • 災害時の配布方法が決まっていない
  • 使用訓練を実施していない
  • 備蓄内容が古いまま更新されていない

防災備蓄は、“置くこと”より、“継続的に管理すること”が重要です。

今後はBCP視点での備蓄も重要に

近年は、

  • 地震
  • 豪雨
  • 停電
  • 感染症
  • 帰宅困難

など、複合災害への対応が求められています。

そのため近年では、防災備蓄もBCP(事業継続計画)の一部として見直す企業が増えています。

例えば、

  • 在宅勤務切替
  • 通信手段確保
  • 安否確認体制
  • 長期滞在対応

など、“事業継続”まで含めた備えが重要になっています。

まとめ

防災備蓄は、「とりあえず水を置いておく」だけでは十分とは言えません。

特に企業防災では、

  • 帰宅困難
  • 長時間滞在
  • 衛生管理
  • 情報確保

まで想定した備えが重要になります。

そして備蓄は、“何を置くか”だけでなく、

  • どう管理するか
  • どう運用するか
  • 実際に使えるか

まで含めて考える必要があります。

近年は、法令対応だけでなく、“実際に機能する防災体制”が求められる時代になっています。

スマテンでは、法令点検だけでなく、防災・建物管理に関する情報発信も行っています。
防災体制や建物管理についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。